外資が触手伸ばす“おいしい水” ミネラル、水道…

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 都会では、すっかり定着したペットボトルのミネラルウオーター。もともと飲料水事情の悪い欧米では広く飲まれていたが、日本ではなじみが薄かった。自動販売機で500ミリリットルが100円以上。水道水はコップ1杯なら限りなくただに近い。日本人は、なぜミネラルウオーターを飲むようになったのか。

メーカーが消費者調査を行ったところ、買う理由で最も多いのは「おいしいから」。しかし、実際に20人を対象に、水の飲み比べ調査を行うと、それに疑問符がつくような結果が出た。

 20人には、市販のミネラルウオーター、東京都の水道水、浄水器を付けた東京都の水道水、地方の水道水−の4種類の水を飲んでもらい、「おいしい」と感じた順位を調べた。その結果、1位にミネラルウオーターを選んだのはわずか4人。16人はほかの3種類の「水道水」を選んだのだ。

 16人は、全員が1位にミネラルウオーターを選んだと思い込み、「さわやか」「飲みやすい」などと高く評価。中にはミネラルウオーターを「くさみがある」と評した人もいた。

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 「地下水をそのままペットボトルに詰めているので不純物は入っていないし、塩素消毒もしないから消毒臭もしない。味の違いに気づくと思いますが…」

 ミネラルウオーターを販売するサントリーの担当者は“おいしさ”を強調し、「販売拡大の背景には都会の水道水に対する不安があった」と解説し始めた。

 東京都水道局によると、都内の水道水は利根川多摩川から引かれているが、昭和40年代、こうした河川水質は急速に悪化した。上流域の群馬県や埼玉県では都市化が進む一方、下水道整備が追いつかず、汚れた水が大量に川に流れ込んだためだ。浄水場で処理されているため、衛生上飲めない水ではなかったが、都民の「水道水はまずい」といった不満は年々増し、60年代になると、水を「買う」動きが出始めたという。

 ミネラルウオーターは徐々に売り上げを伸ばし、平成8年の規制緩和によって500ミリリットルのペットボトルで売られるようになると、手軽さや若者の間の流行も手伝って、売り上げは急速に伸びた。ミネラルウオーター消費の先進国・欧米で売り上げを伸ばしていた「水メジャー」と呼ばれる巨大海外資本が日本市場に大々的に参入した。

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 日本ミネラルウォーター協会の統計では、ミネラルウオーターの販売量は19年で250万キロリットル。20年前の約30倍だ。現在の首都圏では「おいしい水は有料」という考え方がすっかり定着したが、その一方で水道水の改善も進んでいる。

 「以前は『おいしさ』という考え方がなかったが、現在は改めています」。こう強調するのは都水道局の筧(かけひ)直(すなお)調査課長。都では平成4年から浄水場に、オゾン処理などで水のカビなどを低減化する設備を導入。老朽化した水道管も付け替えてサビが入らないようにするなどした。

 水道水の評価は一気に回復。18年の都のアンケートでは飲み水として「満足」とする回答は3割を超えた。前述の20人を対象にした調査でも、13人が東京都の水道水が「1番おいしい」と答えた。

 ただ水道コストも上がった。都民の水道料金は昭和50年、平均的な家庭で1カ月約1300円だったが、現在では約3300円。浄水場の能力向上に1200億円、インフラ整備にも年間500億〜600億円が投じられているからだ。

 実は国際企業は、ミネラルウオーター市場よりも、こうした水道インフラ整備事業に触手を伸ばし始めている。「巨額マネー」が動くからだ。水道事業が民営化されれば、間隙(かんげき)をぬって外資が一気に入り込む。こうした企業は当然、日本の水道事業にも目を光らせ、参入のチャンスをうかがっている。九州地方のある自治体ではインフラ整備で、すでに参入の動きもみられる。

 “おいしい水”を求める日本人。ミネラルウオーターにせよ、水道水にせよ、質の高い水を求めれば、そこが狙われる構図ができあがりつつある。

 

 

東京の水が一番おいしいなんて、面白い結果ですね。

地方のほうがおいしいと思っていたのに…何だか残念です。

3300円どころではないくらい払っているんですけどね(苦笑)